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根管治療

日本の根管治療の成功率は低い?

欧米の根管治療の成功率は90%以上と言われていますが、日本の根管治療の成功率は約50%と言われています。

この成功率の差はなぜでしょうか?
日本と欧米で根管治療の成功率に大きな違いがあるのは、歯科治療の保険制度によるものです。

日本の根管治療は保険での診療が可能です。
この保険治療は時間と材料に制限があり、できることに限界があります。保険治療では精度の低い根管治療しかできないため、再発リスクが高くなります。

しかし、欧米の根管治療は自費診療です。
時間をかけて、菌に効果的な治療を行うことができ、正確性の高い根管治療が可能です。その結果、欧米の根管治療は成功率を上げ、歯を長く使い続けることができます。

また、根管治療では、根管内の感染した部分を徹底的にキレイにすることが大切です。

とはいえ、歯の根の中は枝分かれや細くなっている部分があり、複雑な状態です。特に奥歯の場合には、より根の中が複雑な形になっていることが多く治療の難易度が高いため、精密な治療が不可欠ですが、複雑化している根の中を保険治療の範囲内で完璧に処置をするのは、不可能に近いです。

歯を保存する根管治療

当院では、すぐに神経を取る治療は行いません。
それは神経の有無が歯の寿命に大きく関わるからです。

そもそも、神経は歯の内部に栄養を届ける重要な役割を担っています。神経を失うと歯に栄養が行き渡らなくなり、やがて枯れ木のようにもろくなってしまうことがあります。

さらに、再び根管治療が必要になった際には歯を削る量が増え、歯の強度が一段と低下します。
その結果、歯が大きく割れてしまい、最終的に抜歯に至るケースも少なくありません。

当院では、単に痛みを取るだけでなく、根管治療を繰り返さないための治療を行っています。
再感染や再治療を防ぎ、できる限りご自身の歯を長く保つことを目指しています。
そのために、治療の精度を高めるための機器・技術を導入し、抜歯を回避するための根管治療に取り組んでいます。

精密根管治療の特徴

日本と欧米で根管治療の成功率に差がある理由は、医療制度の違いだけではありません。
実はもう一つ、大きな要因として「歯に対する意識の違い」があります。

日本では、歯科医療にかける費用がアメリカの10分の1〜20分の1程度といわれています。
つまり、「歯を守るためにどれだけ時間と費用をかけるか」という価値観が、欧米と日本とでは大きく異なるのです。

特に日本では、保険診療で安く治療を受けられることが当たり前になっています。
もちろん保険制度は大きなメリットですが、限られた条件の中での治療では、十分な精度を確保しにくいという側面もあります。
その結果、治療の成功率が下がり、再発や抜歯のリスクが高まってしまうことも少なくありません。

 

下記は「日本式の保険の根管治療」と「欧米式の根管治療」を比較した表になります。

 
日本式
欧米式
ラバーダムの使用保険で使用することはほとんどない必ず使用
ファイルの種類ステンレスファイル
※固くて余計に削ってしまう
ニッケルチタンファイル
※感染部位を除去できる
マイクロスコープ保険で使用することはほとんどない必ず使用
充填材ゴム
※再発しやすい
MTA
※殺菌性に優れて再発しにくい
来院回数4回〜8回1回〜2回

日本式と欧米式では「使用する器具・材料・機器・来院回数」といった違いがあり、それは根管治療の成功率を大きく左右します。

当院の根管治療のこだわり

精密な治療を可能にする

マイクロスコープ

歯の根の中は、まるで木の根のように複雑に入り組んでおり、その形や本数、太さは患者さん一人ひとりで異なります
マイクロスコープ(歯科用顕微鏡)は、暗くて狭い根管内を明るく照らし、肉眼の10倍以上に拡大して確認できるため、見えにくい部分まで正確に処置することが可能です。
これにより、感染源を見逃さず、より精密で確実な根管治療を行うことができます。

見えない部分まで正確に診断

CT

歯の根の部分は、まるで木の枝のように細かく枝分かれしています。
その形や本数は人によって異なり、感染した根の一部を見落としてしまうと、細菌が再び繁殖し再発につながるおそれがあります。

当院では、こうした複雑な根の構造を正確に把握するために歯科用CTを活用しています。
CT画像では歯や根の状態を立体的に確認できるため、根の本数や形状、感染範囲を高精度に診断することが可能です。

一般的なレントゲンでは見えない部分も確認しながら治療を進められるため、根管治療の成功率を大きく高めることができます。
当院では、歯の状態を正確に把握し、一つひとつ丁寧に処置を行うために、CT撮影を欠かせない工程としています。

細菌を再発・侵入させない

殺菌治療

根管治療で最も重要なのは、根の中に細菌を残さないことです。
わずかでも菌が残っていると、再発のリスクが高まり、再び痛みや腫れを引き起こす可能性があります。

当院では、根の中を清潔に保ち、細菌の侵入や感染を防ぐために「レーザー治療」「ラバーダム防湿」といった専用の器具を使用しています。

これらの器具を用いることで、根管内をより安全かつ効果的に殺菌でき、再感染を防ぎ、歯を長く残すことにつながります。

感染を防ぐための「ラバーダム」

ラバーダムとは、治療中に使用する薄いゴムのシートのことで、口の中で治療する歯だけを露出させるように装着します。
このラバーダムの主な目的は、唾液の侵入を防ぐことです。

唾液の中には多くの細菌が存在しており、治療中に根の中へ入り込むと再感染の原因となってしまいます。
そのため、唾液から歯を隔離し、清潔な環境で治療を行うことが非常に重要です。

日本では、ラバーダムを使用して根管治療を行う歯科医院はまだ多くありませんが、欧米では使用が義務付けられているほど、根管治療に欠かせない基本的な手技とされています。

当院では、欧米の基準に倣い、すべての根管治療でラバーダムを必ず使用しています。
これにより、治療の成功率を高め、再発リスクを大幅に減らすことができます。

「レーザー」による根の奥まで届く殺菌

歯の根の先端は非常に細く、治療器具が届かない部分が存在することがあります。
そうした見えにくい箇所に細菌が残ると、再発の原因となることがあります。

当院では、先端が極めて細いレーザー機器を使用し、根の奥のすみずみまで光を照射して殺菌します。
レーザーの光は細菌に対して高い効果を発揮し、器具が届かない部分までしっかり殺菌できるため、再発防止にもつながります。

根を傷つけないための「ニッケルチタンファイル」

根管治療では、歯の根の中にある虫歯や感染した組織を取り除く際に、「ファイル」と呼ばれる細い針状の器具を使用します。

一般的な保険診療で使用されるファイルはステンレス製で硬いため、根の形に合わせにくく、必要以上に歯を削ってしまうことがあります。
特に、再治療を繰り返している場合には、根に穴を開けてしまうリスクも高まります。

当院では、より安全で精密な治療を行うために、「ニッケルチタンファイル」を使用しています。
このファイルは非常にしなやかで柔軟性が高く
、複雑に曲がった根の形にも沿ってスムーズに動くため、歯を傷つけずに感染部分だけを的確に除去できます。
その結果、歯をできるだけ削らず、再発のリスクを減らした精密な治療が可能となります。

音波洗浄機「ジロソニック」で徹底的に洗い流す

根管治療では、ファイルという器具で根の中を清掃する際に、削りカス(削片)が発生します。
この削りカスには多くの細菌が含まれており
、取り残してしまうと再感染や再発の原因になることがあります。

当院では、こうした細菌を残さないために、音波洗浄器「ジロソニック」を使用しています。
ジロソニックは超音波に近い微細な振動
によって、根の中の汚れを浮かせながら、
水流で効率的に洗い流すことができる機器です。

通常の洗浄では届きにくい根の先端部分や細かな枝分かれ部まで、
しっかりと洗浄できるため、より確実で清潔な治療環境を実現します。

薬剤「EDTA」「次亜塩素酸ナトリウム」による科学的洗浄

当院では、器具による物理的な洗浄だけでなく、「EDTA(エチレンジアミン四酢酸)」「次亜塩素酸ナトリウム」といった薬剤を用いた科学的な洗浄も行っています。

これらの薬剤には、根の中に残った削りカス(細菌の塊)を溶かす作用があり、肉眼では確認できない微細な細菌まで徹底的に除去することが可能です。

物理的洗浄と薬剤洗浄の両方を組み合わせることで、再感染のリスクを最小限に抑え、より清潔で確実な根管治療を実現しています。

隙間をつくらないための「高性能シーラー」

根管治療の最終工程では、清潔になった根の中を「充填剤(シーラー)」で密閉する処置を行います。
一般的な保険診療では「ガッタパーチャ」というゴム状の材料を使用しますが、この素材は硬化後にわずかな隙間が生じやすく、再感染のリスクがあることが知られています。

当院では、より高い治療精度を求める方に向けて、自費診療限定「バイオセラミックシーラー」「MTAセメント」「ウェルバルプ」といった膨張性があり、根管内をすき間なく封鎖できる特殊な材料を使用しています。

これらのシーラーには、

  • 殺菌作用

  • 歯の組織を修復・再生させる効果
    も期待でき、根管治療の長期的な安定と再発予防に大きく貢献します。

ご興味のある方は、どうぞお気軽にご相談ください。

抜歯を避けるための

外科的根管治療

痛みや腫れなどの症状がなかなか治まらず、炎症を繰り返す場合、一般的には「抜歯が必要」と診断されることがあります。

しかし当院では、できる限りご自身の歯を残すことを第一に考え、「歯根端切除術(しこんたんせつじょじゅつ)」「接着歯牙再植術(せっちゃくしがさいしょくじゅつ)」などの高度な外科的根管治療を行っています。

これらの治療法により、根の先に残った感染部分を取り除き、歯を抜かずに保存できる可能性を広げることができます。

歯根端切除術

歯の根の先端(根の先端1/3ほどの部分)は、内部が非常に複雑に入り組んでおり、通常の根管治療だけでは症状が改善しないケースもあります。

このような場合に行うのが、歯根端切除術(しこんたんせつじょじゅつ)という外科的治療です。
歯ぐきを小さく開き、根の先端部分を切除したり、先端にできた膿の袋(嚢胞)を取り除いたりして、炎症の原因を直接除去します。

これにより、再発を防ぎ、抜歯せずに歯を残せる可能性が高まります。
ただし、歯根端切除術はすべての症例に適応できるわけではなく、歯の状態や骨の量、感染の程度などを慎重に診断したうえで判断します。

接着歯牙再植術 (適応ケース限定)

根管治療を繰り返すと、歯の内部が徐々に薄くなり、根にヒビが入ったり割れてしまうリスクが高まります。
以前は、こうしたヒビが入った歯は抜歯と診断されるのが一般的でした。

しかし現在では、治療技術や接着材料の進化により、条件が整えば割れてしまった歯でも残すことが可能になっています。

当院で行っている「接着歯牙再植術(せっちゃくしがさいしょくじゅつ)」は、そのような歯を残すための治療法です。

この治療では、まず割れた歯を一度抜き取り、根の周囲にある炎症や感染した組織を丁寧に除去します。
その後、特殊な歯科用接着剤で割れた部分を修復し、もとの位置に戻して再び固定します。

これにより、従来なら抜歯が避けられなかったケースでも、ご自身の歯を残せる可能性が広がります。

ただし、この方法はすべての症例に適応できるわけではありません。
「他院で抜歯と言われたが、なんとか歯を残したい」という方は、ぜひ一度、当院までご相談ください。

特殊な接着剤で歯を修復し、元の位置に戻して完了です。他院で歯にヒビが入って抜歯と言われたけれど歯を残したい方は、まず1度当院でご相談していただければと思います。(※但し適応ケースは限定です。)

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当院では、患者様のお口の悩みや不安にお答えする機会を設けています。
どんなことでも構いませんので、下記よりお気軽にご相談ください。

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